LBファニチャーワークス 〜暮らしの中に自分だけの家具を〜

LBファニチャーワークス中庭のしだれざくら 我々取材班が「LBファニチャーワークス」を訪れたのは、桜も散り終わったころ。
山口市内でも歴史を感じさせるたたずまいを残す、後河原の町屋を改造したお店の中庭には枝垂れ桜がまだ花を残していました。

平日は別の場所にある工房で制作をされ、土日のみ開けているお店には交代で出られている、オーナーの平川さんと溝内さん。
お二人に揃って、お店でお会いできるというのは、もしかしたら貴重なことなのかもと思いつつ、インタビューを始めさせていただきました。


大学で過ごした日々というのがとにかく楽しくて

LBファニチャーワークスは、「デザイナー」であり「職人」である、平川さんと溝内さんが6年前に開かれたお店。ともに県外出身者であるおふたりの出会いは、山口県内の大学の同じ研究室だったところに始まるとか。

粋活き人応援隊:そもそもどうして山口で起業しようと考えられたんですか?

平川さん:大学で過ごした日々というのがとにかく楽しくて。それがなかったら山口でとは思わなかっただろうと思います。正直「なんとなく」というのはあるんですけどね(笑)

大学を卒業後、平川さんはフィンランドの工科大学へ修行へ、溝内さんは「それぞれ得意分野があったほうがいい」とさまざまなことに挑戦していたそうです。

粋活き人応援隊:「工科大学」というのは、日本の大学とは違うところなんでしょうか?

平川さん:日本で言えば職業訓練校みたいな感じですかね。ただ、先生も生徒もかなりレベルが高くて、学校が企業から仕事を請け負って、生徒がそれをこなしたり。知識を教えるというよりは、より実践的な場所で、かなり鍛えられました。

粋活き人応援隊:いよいよ「LBファニチャーワークス」を始めようとなったきっかけはなんですか?
LBファニチャーワークスの雑貨類

平川さん:独立というのは在学中から考えていて。フィンランドから帰ってきてからは、木工所に勤めながら大学院に通ってました。
木工所のほうでさらに技術を身につけながら、大学では作品を作り始めてたんです。作品がだんだん増えてくると、今度は、どこか場所を借りて展示会とかできたらいいなくらいに思いだして。

溝内さん:場所を探してたら、後河原に今から改修するいい物件があるって紹介されたんです。まったくの偶然なんですよね。それで一気に動き出した感じでした。

粋活き人応援隊:紹介された物件というのが、町屋を改修した現在の店舗ですね。周りの風景に溶け込んでいて、一見お店だとはわかりにくい雰囲気。目的を持って来ないと見つからない店構えともいえますね。

平川さん:開店して最初の頃は毎日あけてました。自分たちは製作もあるので、アルバイトの人も雇って。で、気づいたらヤバイことになってたという(笑)
LBファニチャーワークスの外観

溝内さん:あのころは置いているものも少なかったですし、かといって大物はスペースも取るしで置きづらかったりして。かなり苦しいところまで行きましたが、今は商談もできるし、だんだん増やした小物も出ているので、がんばってキープしてよかったと思ってます。
メインの商品はオーダー家具ですけれど、小さいものから買ってもらえるように雑貨を増やしたんです。無垢の木のよさにより若い世代に触れてもらいたいっていうのもあって。それに「オーダー家具の店」とかいったら入りにくいじゃないですか。もっと気軽に入ってもらえたらと思ってます。

お客さんのイメージを守りながら、必要とするものを

「オーダー家具」というと、なんとなく敷居が高そうに思えるもの。どういった方がオーダーに訪れるのでしょうか。

粋活き人応援隊:LBファニチャーワークスの顧客層はやはり年配の方が多いんでしょうか?

溝内さん:40代前後が中心ですか。ただ、若い層からお年を召した方まで、幅は広いと思います。ただ、雑貨だとかお金の主導権は旦那さんで、デザインについては奥さんという傾向がありますかね。

粋活き人応援隊:小さいお子さん向けの商品というのはどうですか?

溝内さん:プレゼントという形ではよく出ますね。ただ、自分たちにはまだ子供がいないので、試行錯誤しているところです。きっかけは積み木だったんですけど、あるときお客さんから椅子をオーダーされて。「自分の椅子があるということは、その子にとっての居場所ができることだから」というお願いに、なんだか妙に納得してしまいました。

家具をオーダーするにあたって、自分のイメージをどうやってかたちにしてもらうか、率直な疑問をうかがってみました。

粋活き人応援隊:LBファニチャーワークスは「オーダー家具」のお店です。お客さんのオーダーを形にするというのは難しい作業ではないんでしょうか?
こども用いす

溝内さん:そうですね、形になったものがない最初の頃はとにかく試行錯誤の繰り返しでした。デザイン画を書いてお客さんに見せたり。ただ、家具をオーダーしようと考えられているくらいなので、お客さんの中に、結構しっかりしたイメージがある。それに近づけていく作業に徹していましたね。
今は商品も増えて形をイメージしてもらいやすいですし、ホームページで紹介しているものをベースにイメージしてもらうこともできるようになりました。なので、お客さんとの間のイメージの差は無くなってきていると思います。逆にお客さんのイメージを守りながら、自分たちからの提案をお客さんに伝えていけるようになりました。

粋活き人応援隊:そういう意味では、自分の「作品」を買ってもらうアーティストではないと。

平川さん:自分たちは「作家」ではないので。もちろん好きな人しか買わないでしょうし、合わない人は注文もしませんよね。お客さんの中にはご自分のイメージがちゃんとあるので、自分たちのスタイルを押し付けるのではなくて、お客さんの必要とするものを作りたいんです。

「ああ、やっぱりLBさんのっていいよね」って

「作家」ではなくて「職人」。お二人の家具作りはこれからどういった方向へすすんでいくのでしょうか。

粋活き人応援隊:それでは、これからのLBファニチャーワークスはどう進んでいきますか?
ソファとテーブル

溝内さん:品揃えとしては、より小物を充実させていこうかなと。お店には木工製品だけでなく、手入れ用の塗料やボンドなども置き始めました。それから商品全体でいえば、オリジナルを増やしたいですし、定番商品も増やしていきたいですね。
製作者としては技術的なことはどんどんスキルアップしていきたいです。「速くつくりたい」とか「きれいにつくりたい」とか「上手くつくりたい」とか。上をみたらきりがありませんね(笑)

平川さん:ウチの家具って、山口では「まあまあ」だと思うんですよ。ですけど、まだ「最低限で普通」だと思うんですよね。これが東京へ出たら、おなじように無垢材を使った製品の中では普通すぎて埋もれてしまうだろうと。だから「もう一歩」行きたいですよね。「ああ、やっぱりLBさんのっていいよね」って一目でわかってもらえるような。

使いづらいところを、あえて面白く使う

ひとしきりお話をうかがったあとに案内していただいたのが、中庭の向こうにある「LBF Study」。いわばLBファニチャーワークスの「実験場」といったところでしょうか。 ソファとテーブル

溝内さん:ここでは家具だけじゃないところで、遊び心というか。たとえば、この棚なんかは、棚板がみんな節が入ってるところなんです。家具を作るときは、強度や変形を避けるために節のところは使わないんですよ。家具の材料としては捨てる部分を、あえて鉄枠と組み合わせて棚として作ってみたんです。

平川さん:あとは修復した家具なんかもこちらで扱ってます。製作品ではないので、モノがあるときとないときがありますけど。それと、個人的に使いたくてフィンランドからとりよせた食器なんかも置くようにしました。

その後も材料について、デザインについて、興味深いお話はいつまでも聞いていたいものでしたが、そのはしばしからは、「ものづくりに真摯であること」という職人としての想いがひしひしと伝わってきました。
こんなお二人がつくる家具、ぜひその目で見て、その手で触れて、あなたの山口での暮らしに加えてみてはいかがですか?

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